年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「お前、夜景が見える公園がいい? それとも船の上がいい?」
久しぶりに私が手料理を用意して、部屋でのんびりと過ごしていた時。
ソファの上で、もうすでに読まれずに片隅に追いやられていた結婚情報誌をペラペラめくりながら、祥裄がいきなり言いだした。
「は?」
「プロポーズの場所だよ。ちゃんとしてなかっただろ」
祥裄の隣に座ってぼんやりテレビを見ていた私は、まじまじと横にある顔を見る。
「理想を語ってみろよ。その通りにしてやる」
やっぱりこいつ、意外とバカだ、と思った。
「そういうのって普通、サプライズでするものでしょ? 真正面からどうして欲しいか聞いてどうするのよ」
こらえきれずに笑いながら、祥裄の手から情報誌を取り上げる。広げてあったページには、理想のプロポーズ特集なる記事がでかでかと誌面を飾っていた。
なになに、理想のシチュエーションは夜景の見える公園で、船上レストランで指輪と一緒に、恋人の部屋でさりげなく……。
やっぱりロマンチックな場所が人気なんだろうけど、なんだかちょっと気恥ずかしいよなあ。