年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「私はこれがいいかな。『いつもの部屋でさりげなく、素直な気持ちが伝わるようなプロポーズ』……」
言い終わる前に後ろから抱きしめられた。
「な……」
「好きだ沙羽。これからもそばで支えて欲しい。俺と結婚してくれ」
耳元で、真剣な声が響く。
かかる吐息が微かに、震えていた。
「よしゆ……」
「俺だって不安なんだよ」
振り向こうとした私の動きを祥裄が腕の力を強めて押し返す。いつもの自信がなりをひそめて、弱気な言葉が飛び出した。
「してほしいことがあるなら叶えてやる。俺に不満があるなら直す。
……なあ、どうしたらお前はちゃんと俺だけ見てくれる?」
苦しいくらいに抱きしめられて、息ができない。その力の強さが祥裄の不安の大きさを物語っていて、私の心に大きな影を作る。