年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「お、やっぱり木下くんとヨリ戻したのか。しかも結婚まで話が出てるのか?」
平山さんも絶対酔っ払っている。いつもならこんなに無遠慮に会話に入ってきたりしないのに。
「いや、全然具体的には決まってないんですよ。だからまだ報告も控えさせていただいてて……」
「よかったなあ、片桐。やっぱりお前には木下くんしかいないと思ってたよ」
人の話はまったく聞かず、うんうんと一人勝手に頷いている。
「なに、片桐さん結婚するの?」
「えー、結婚? オメデトー」
周りで様子をうかがっていたらしい人たちから次々と祝福の言葉を投げかけられる。
困ったな、と思う反面、もうバレてもいいか、とも思った。どうせもうそろそろ、報告もしないといけないと思っていたんだし。
それでも意識のどこかでまだ知られたくなかった、と思う気持ちが残っていて、はっきりそうだと言えないで困っていると、明日香ちゃんが助け舟を出してくれた。