年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「お疲れさまです」
「あーサンキュー。生き返るー」
のんびりした話し方の竹田さんは、その話し方に似合わず、女性にしては珍しく一級建築士を持っていて、バリバリ現場にも赴く男顔負けの仕事人間だ。
私よりもはるかに年上だけど独身、婚期逃したわー、と笑っていたけど、噂ではほぼ事実婚状態の彼氏がいるらしい。
本人から詳しく聞いたことはないけれど、子供はいらないから結婚もしない、と誰かに話していたそうだ。
「沙羽ちゃんもお疲れさまー。これ、内装沙羽ちゃんに頼もうと思うから、よろしくねー」
竹田さんが手がける物件は、女性にお願いしたいと依頼が来るものがほとんどで、内装も女性の私に回ってくることが多い。そういうお客さんは当然こだわりも強いので、やりがいもある。
「楽しみです! よろしくお願いします」
私が威勢良く返事をすると、早速サンドイッチを取り出してかじりついた竹田さんは、あーでも、と少しトーンが落ちた声でつぶやいた。
「これからあんまり組めなくなるかもねえ。結婚して妊娠でもしたら、セーブせざるを得ないもんねえ、仕事」