年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
よし、っと気合を入れて、またデスクに戻る。
九時までにはたっぷり時間はあるけれど、遅れるわけには絶対いかないんだから。


見積書を仕上げるとまだまだ余裕があって、一度家に帰ることにする。
少し汗をかいていたのでシャワーを浴びて、軽く食事を済ませた。どうせシェリーに行くんなら早目に行ってご飯を食べながら待とうかな、と思ったけど、なぜか時間通りに来てください、と念を押されていた。

シェリーまでは大体十五分くらい、時間を見たら八時半を過ぎたころ。
……まあ、ゆっくり行って、少し早いくらいは許してくれるだろう。


途中少し寄り道して、時計が九時五分前を指す頃にドアを開けると、待っていたのはマスターだけだった。


「いらっしゃい」


にっと笑って私を見る。
辻井さんと大輔くんはまだ来ていないのか、と思いながら指定席に座ろうとすると、マスターがカウンターから出てきて笑いながらそれを止める。


「今日は特別席だよ。沙羽ちゃんはこっち」


そう言って私の手を掴んで、カウンターの中に連れ込んだ。
< 267 / 462 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop