年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
……え?
戸惑う私をマスターは無理やり座らせた。シンクと収納の間、ちょうど小柄な人が一人くらいだけ入り込めるような、カウンターの下の隙間に押し込められる。
「ちょっ……」
「大輔たちはもうすぐ来るらしいから。狭いけどちょっと我慢してて」
協力、って、もしかして大輔くんと辻井さんの会話を盗み聞きしろってことっ?
非難の目を向ける私を、マスターが楽しそうに見下ろした。
「武尊が昔彼女に同じことされたんだって。あんまりお節介焼くタイプじゃないんだけど、大輔と沙羽ちゃんにはうまくいって欲しいみたい」
そう言うマスターだって、そんなお節介焼くような人じゃない。この人の場合は、面白がっているに違いない。
「マスターは誰の味方なの? 祥裄? 大輔くん?」
「俺はどっちの味方でもないよ。強いて言うなら、沙羽ちゃんの味方」
飲む? と差し出されたグラスをおとなしく受け取る。
甘くないこの味は、多分ジンのソーダ割り。
「これ、なんていうカクテルなの?」
「ジンリッキー。ようやく聞いてくれたね」
くすくす笑ってグラスを磨き始めた。
その手元を普段ならありえない角度から見上げながら、私は収まりのいい姿勢を探す。背中を収納の板に預けながらしゃがみこむ形でお尻を浮かせていたけど、疲れてペタンと座り込んだ。楽なカッコに着替えて来て、本当に良かった。
戸惑う私をマスターは無理やり座らせた。シンクと収納の間、ちょうど小柄な人が一人くらいだけ入り込めるような、カウンターの下の隙間に押し込められる。
「ちょっ……」
「大輔たちはもうすぐ来るらしいから。狭いけどちょっと我慢してて」
協力、って、もしかして大輔くんと辻井さんの会話を盗み聞きしろってことっ?
非難の目を向ける私を、マスターが楽しそうに見下ろした。
「武尊が昔彼女に同じことされたんだって。あんまりお節介焼くタイプじゃないんだけど、大輔と沙羽ちゃんにはうまくいって欲しいみたい」
そう言うマスターだって、そんなお節介焼くような人じゃない。この人の場合は、面白がっているに違いない。
「マスターは誰の味方なの? 祥裄? 大輔くん?」
「俺はどっちの味方でもないよ。強いて言うなら、沙羽ちゃんの味方」
飲む? と差し出されたグラスをおとなしく受け取る。
甘くないこの味は、多分ジンのソーダ割り。
「これ、なんていうカクテルなの?」
「ジンリッキー。ようやく聞いてくれたね」
くすくす笑ってグラスを磨き始めた。
その手元を普段ならありえない角度から見上げながら、私は収まりのいい姿勢を探す。背中を収納の板に預けながらしゃがみこむ形でお尻を浮かせていたけど、疲れてペタンと座り込んだ。楽なカッコに着替えて来て、本当に良かった。