年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
しばらくぼんやりしていると、ドアが開く気配がする。

マスターが普段通りの声でいらっしゃい、と言うと、こんばんは、と声が返ってきた。

大輔くんの声だ。

カウンターに二人、座る気配がする。私は音を立てないように、なるべく気配を潜ませる。

マスターがおしぼりとナッツが山盛りの小皿を差し出した。

「武尊はマティーニでいい? 大輔は?」

「……俺も同じものを」

「おいおい。無理すんなよ?」

「大丈夫です。強いのが飲みたいので」

大輔くんの答えに、マスターが笑い含みに了解、と返事をした。ジンのボトルに手を伸ばす。
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