年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「なんですか、話って?」
大輔くんの声は、なんだかいつもより硬い。それに続く辻井さんの声は、今日は最初から意地悪モード。
「お前、いつの間に葉月と付き合い始めたの?」
がさがさ何かを取り出す音がして、カチン、とジッポーの蓋が開く音がする。
「……沙羽さんに会ったんですか?」
「この前偶然な。俺が知らないからマズイと思ったのか、相手が葉月だとは言わなかったけど」
ふー、と煙を吐く気配がする。
「なんでそんな嘘ついた?」
「……沙羽さんが一瞬だけ、泣きそうな顔をしたから」
はあ、と大輔くんがため息をついた。
嘘、を否定しなかったってことは、葉月ちゃんとは本当に付き合っていなかったんだ。そのことに少し安堵したけど、私には大輔くんの言葉の意味が全くわからない。