年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ネックレスをしてたから、多分木下さんとは順調なんでしょうけど。
俺と一緒にいる葉月を見た表情が傷ついてるみたいに見えたから、もしかしたらまだ、迷ってくれてたりするのかな、って思って」
私の気持ちなんて、見透かされていたのか。
でも、私が迷っているのがわかったんなら、普通は取り戻そうとするだろう。やっぱりもう私のことなんて、好きでもなんでも……。
「思って? わざと突き放した?」
「……」
辻井さんの声に、大輔くんが無言で答える。
わざと? 突き放した?
「俺のことなんてすっぱり忘れた方がいいんです。木下さんを選んだ方が沙羽さんは絶対幸せになる」
予想していなかった大輔くんの言葉に、思わず声をあげかけて慌てて飲み込む。マスターがわざとらしく、ベルモットの瓶を倒しかけて、悪い、と苦笑いしていた。
嘘をついたのは私のため?
「沙羽さんは優しいから、きっとまだぐるぐるいろんなこと考えてるんですよ。じゃなきゃあんな顔しない」