年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
そりゃそうか、と辻井さんが呟いて、また少し、沈黙が降りる。

その少し重苦しい沈黙を破ったのは、今度は大輔くんだった。


「あの。すごい生意気、というか、失礼なことを聞くかもしれないんですけど」


「どうぞ?」

「今のままじゃ絶対、タケさんは綾川さんを幸せにしてあげることなんてできないじゃないですか。
それなのに一緒にいるって、辛くないですか? 離れたほうがいいと思ったりしないんですか?」


「……すっげー手厳しいな」

「すみません」


辻井さんは少し笑ったようだ。

「いいよ、その通りだし。……何回も思ったよ。でも結局手放せなかった。俺はお前みたいに強くないからな」

「俺は別に強くないですけど」

「十分強いよ。三年もかけた気持ち、相手のためにすぐに殺せるんだから」
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