年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
祥裄がおもむろに、ポケットから小さな箱を取り出した。

ベルベットの光沢に包まれた、それは明らかに。


「それ……」

「仕方ないだろ。もう用意してたんだから」


祥裄が困ったような表情を浮かべる。


「ごめ……」
「まだ謝んな」 


謝罪の言葉が口からこぼれた私を素早く遮って、祥裄の手がその箱の蓋を静かに開けた。

中には控えめのダイヤがキラキラ光る、ちゃんと私の好みに合わせたシンプルなエンゲージリング。


「俺も往生際が悪いからな。最後の最後までかけたかったんだ。お前が俺を選ぶ可能性に」


静かな声で祥裄が語りかけてくる。
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