年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「沙羽。……俺と結婚してください」
その声も表情も、私を包み込むように、温かくて。
私は一度、その目から逃げるようにまぶたを閉じる。
今まで二人で過ごしてきた、たくさんの時間を思い浮かべる。
隣にいた祥裄はいつも、私をちゃんと見守ってくれていた。
大好き、だった。
でも。
まぶたを開けて、しっかりと祥裄の目を、見つめ返す。
「ごめんなさい。……祥裄とは結婚できません」
はっきりと答えた私の声に、祥裄は一度、深く頷いた。
差し出していた指輪の箱を、パタン、と閉じた。