年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
それから大きく、はあー、と息を吐いた。

「まったくよ。あのモデル男も、あんな茶番仕掛けるんならもっと早くしろよな」

面白くなさそうに呟いたその内容に、私の胸がどきんとはねる。

「何、茶番って」

「俺も呼び出されてたんだよ、あの夜。悲惨だったぞ、お前より先に来させられて、座れもしない狭い物置に押し込まれて、聞きたくもない話聞かされて」

仏頂面で文句を言って、指輪の箱をぞんざいに転がした。

「マスターまでグルになって、あのボウヤの味方するとか、卑怯だよな。俺との付き合いのほうが長いのに」

そうブツブツ呟く姿は、ふてくされた子供のようだ。
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