年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「きゃっ」
「沙羽さんっ!?」
小さな段差にひっかかった私の体が、ものの見事に崩れ落ちる。これだけ派手に転ぶのは、いつぶりだろう……。
「イッタぁ……」
うまく受身を取れたのか、奇跡的に怪我はしていないようだ。
顔をしかめながら地面についた手の砂を払っていると、下を向いた視界の中に見慣れたスニーカーが近付いて来るのが見えた。
「大丈夫ですか、沙羽さん……」
心配顔で私を見下ろして、座り込んだ私に手を差し伸べている大輔くんは、あの雨の夜に出会った時と全く同じ。
違うのは、そんな彼を見上げる私の気持ちだけ。
大輔くんが差し出してくれた手を、両手で掴んだ。
引き上げてくれようとする大輔くんの力に逆らって、反対に引っ張った。