年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「知らない男に見られてるとか、気持ち悪い、ですよね?」
その不安げな顔に、私はたまらず笑い出す。
「ごめん、実は知ってた。……聞いてたんだ。辻井さんとの話」
「タケさんとの話?」
「そう。この前の水曜日、シェリーで話してた時、こっそり隠れて聞いてたの」
「水曜日? ……ってええっ? あれ聞いてたんですかっ?」
今度は目元を淡く染めて、うわ、マジか、と慌てている。
「すごく嬉しかったよ。ずっと大事に想ってくれてたんだって知って。……でも、私、昔大輔くんに会ったことなんて全然覚えてなくて。ねえ、私、三年前に一体何を言ったの?」
私がそう尋ねると、彼はまだ少し赤い目元を、昔を思い出すようにふっと細める。それから柔らかな声で、話し始めた。
「俺はまだ、働き始めて一年目だったんですけど……」