年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

5 はじまりのはじまり side 大輔




『また休み潰れたって、どういうことっ?』


電話の向こうで響く彼女の声は、たいそうご立腹だった。

「だからごめんって。講習会があるの忘れてたんだよ。仕方ないだろ、新人の分際で欠席するわけにもいかないし」

『でもこの前も練習で約束すっぽかしたよね? もう何回目なの?』

「何回目って……」

その前はミーティングで潰れたし、その前はもともと時間の都合がつかなかったし……。

『私と会いたいっていう気があるの? 私のために時間作ろうって気、ある?』

「だから夜に会いに行ったりしてるじゃん」

『私が寝てからそろーっと来て、ただ横で寝てるだけじゃない』

「だって、起こしちゃ悪いかと思って」

『じゃあ寝る前に来ればいいでしょっ』

そんなこと言われたって、練習が終わらないんだから仕方ないじゃないか。夜だって疲れてるのにわざわざ会いに行って、それなのに起きてくれすらしないのはお前の方だろ――。
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