年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
つい言いたくなる愚痴を、押しとどめて飲み込んだ。
こんなことを言い返したところで、彼女の怒りに油を注ぐだけ。


「悪かったよ」


つい投げやりな口調になったとしても、誰に文句が言えるだろう。それなのに俺の口調は正しく彼女の怒りを煽って、沸点にまで一気に押し上げてしまったらしい。


『何よその言い方! ……もういい、もう無理。私には付き合いきれない。別れよう、もう会いに来なくてもいいし、連絡もしないで!』

「え、ちょっと待っ」


慌てて弁解しようとしたけれど、プー、プー、と無機質な音が返ってくるだけだった。
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