年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
大輔くんの顔が、みるみるうちにほころんでいく。私を振り返って、あの見ていて幸せになる笑みを浮かべた。


「沙羽さん! やった!」


がばっと抱きついてきて、私は慌てて押し返す。
おいおい、辻井さんが見てるから!

押し返された大輔くんは不満な顔も見せず、やった、やった、と私の手をブンブン振り回している。しっぽがあったなら今頃振りすぎて千切れているに違いない。


「おめでと、大輔くん。よかったね!」

「はい、沙羽さんのおかげです! ありがとうございます!」


また抱きつこうとしてくるのを必死で止めた。嬉しくて飛びかかってくる大型犬みたいだ。

「俺の存在無視するなよ」

辻井さんが呆れたように呟いた。それでもその表情には、可愛い弟を見守るみたいな、温かさが漂っている。

「ここはこのままでいいから、とっとと帰れ。明日、貴重な二人一緒の休みなんだろ?」

しっしっと追い払われた大輔くんは、満面の笑顔のまま、ありがとうございますと頭を下げた。
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