年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「花千だって乗り気だっただろ。言ってたじゃん、協力できて嬉しいって」

「それは本当に有難いと思ってます。綾川さんってマジで優しいですよね」

「客っていう立場以外で関われるのが嬉しいんだろ、多分」

タケさんは何気なくそう言うけれど、それって深いよな、と思う。
タケさんが綾川さんをお客さん以上の特別な存在だって認めていて、それを綾川さんが喜んでるってことだから。

タオルをたたみ終えて片付けるとちょうどドアが開く気配がして、顔を出したのは沙羽さんだった。
会社帰りで大きな鞄を小柄な肩にかけて、ヒールをカツカツ鳴らす姿はデキル女オーラ満載だけど、俺を見るなりぱっと明るい笑顔になって、キリッとした大きな目を和ませた。

「外、夜なのにすごい暑かったよ。大輔くんは溶けちゃうね、きっと」

ああなんて可愛いんだろう、と見るたびに思う。

顔の造りはキレイに分類されるし、普段纏っている空気は大人の女性って感じなのに、俺に向けてくれる雰囲気がどこか幼くて、とにかく可愛い。付き合い始めてから時間を追うごとにその傾向が顕著になって、それも気を許してくれている証拠かな、と嬉しくなる。


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