年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「そうですね」

体の中に沈んでいた重たい石が、ふっと消えて無くなった気がした。
要は気に入ってもらえればいいんだ、沙羽さんの言う通り。

「はい、取り敢えずやってみよう。可愛くなくてもちゃんと許してあげるよ」

「沙羽さんのイメージとは違いますから、今日は気に入ってはもらえないかもです」

「えー、そうなの? やっぱり練習台ってつまんないなあ」

口を軽く尖らせる沙羽さんの髪に、指を通す。

吸い付いてくるような感触は、やっぱり他の誰と比べても一番だ。

「また今度、ちゃんと沙羽さんに似合うようにしてあげますから」

宥めるように言いながら、コテで髪を巻いていく。鈴坂さんの好みは、思いっきり甘いテイストだ。

約束だよ、と少し甘えるような声で言う沙羽さんに笑って頷きながら、頭の中に思い描いているイメージを再現するために、手元に意識を集中させた。
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