年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「浴衣着たくなっちゃう。このまま崩しちゃうのもったいないな」

綾川さんが鏡を覗き込みながら、つんつんとお団子をつついている。

「ほんとだね。今日が花火大会なら良かったのに」

私も名残惜しい気持ちで鏡の中の自分の姿を見る。

「次は私のイメージに合うようにしてくれる、って言ってたけど。一体いつになるかな」

花火大会やお祭りなんて、土日に行われるものばっかりだ。
二人一緒のお休みなんて取れないだろうし、まあ確実に今年は無理だろうなあ。

少し落ち込みながらそう呟くと、綾川さんが振り向いて私を見た。

「さっき、お盆の一日だけ、お休み重なったって言ってませんでしたっけ?」

「? 言ったけど」

「それって月曜日ですか?」

うん、と頷くと綾川さんがぱあっと笑顔になって、私と反対側の隣の椅子に置いてあった鞄から携帯を取り出した。
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