年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「あのね、会場は結構混むらしいんだけど、綺麗に見えるのに人が少ない穴場の場所があるんだって。ちょっと歩くんだけど……」

綾川さんが大輔くんの手の中の携帯を横から覗き込んで、画面を操作している。地図を表示させて、熱心に説明してくれているようだ。まるで自分のことみたいに嬉しそうにしていて、いい子なんだなあ、としみじみ思う。

「……なんでそんなに詳しいの?」

顔をくっつけて同じ画面を見ながら、真剣な顔で話している二人を微笑ましく思って見ていたら、その後ろから辻井さんの手が伸びてきて、ひょい、と大輔くんの手から携帯を奪い取った。

「あ」
「行ったことないんだろ? なんでそんな穴場スポットまで知ってんの?」

奪い取った携帯を勝手にいじりながら、ちら、と綾川さんに目を向ける。

「後輩の実家がその近くなんです。だからたくさん教えてもらって」

「なんで?」

「? なんで?」

「なんでたくさん教えてもらう必要がある?」
 
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