年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
辻井さんが無言ですっと目を細めて、唇を引き結んだ。
「それに、車で一時間って冷静に考えたらちょっと微妙な距離かなあ、って思って。後輩も、遠くからいっぱいいろんな人が来るって言ってたし、誰に会うかわからないし、やっぱり二人で行くのは難しいかな、って」
「……ごめん。俺が怒れるような立場じゃなかったな」
はあ、とどこかやりきれないふうに小さくため息をついた。ぽん、と綾川さんの頭に手を置くと、彼女はううん、とにこっと笑う。
「行けたらいいなー、くらいでちょっと調べてみただけですから。おかげで黒川くんたちに教えてあげられたし、良かったです」
へへ、と少し得意げにする綾川さんを、複雑な表情で辻井さんが見下ろしていた。
申し訳なさや悔しさ、何よりも愛おしさが入り混じった表情。
応援したいな、なんて、辻井さんの家族のことを考えれば軽々しく思ってはいけないのかもしれないけれど、思わずにはいられなかった。誰もが前を向く形で、この二人がどんなところでも堂々と並んで歩けるようになればいいのに。
「それに、車で一時間って冷静に考えたらちょっと微妙な距離かなあ、って思って。後輩も、遠くからいっぱいいろんな人が来るって言ってたし、誰に会うかわからないし、やっぱり二人で行くのは難しいかな、って」
「……ごめん。俺が怒れるような立場じゃなかったな」
はあ、とどこかやりきれないふうに小さくため息をついた。ぽん、と綾川さんの頭に手を置くと、彼女はううん、とにこっと笑う。
「行けたらいいなー、くらいでちょっと調べてみただけですから。おかげで黒川くんたちに教えてあげられたし、良かったです」
へへ、と少し得意げにする綾川さんを、複雑な表情で辻井さんが見下ろしていた。
申し訳なさや悔しさ、何よりも愛おしさが入り混じった表情。
応援したいな、なんて、辻井さんの家族のことを考えれば軽々しく思ってはいけないのかもしれないけれど、思わずにはいられなかった。誰もが前を向く形で、この二人がどんなところでも堂々と並んで歩けるようになればいいのに。