年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ちょっと目立ちすぎやしませんか」

「なに言ってんの、このくらいコントラストが効いてた方があんたの顔には映えるのよ。いいじゃない、しっとり大人の女って感じ」

私を鏡の前に立たせて、着せ替え人形よろしく一通り組み合わせて決定した一枚に、お母さんは満足げだ。

私も鏡の中の自分を見る。うんまあ、可愛すぎず地味すぎず、上品さを残しつつも粋な感じは、自分でもなかなかいいと思う。

「あんた自分で着れないでしょ? 誰かに着せてもらうの?」

「うん、一緒に着てく子が、着付け教室通ってるんだって。浴衣なら着せれるって言ってくれたから」

将来役に立てばいいなと思って、と、綾川さんははにかみながら言っていた。いずれ辻井さんが自分のお店を構えて、もしその時も一緒にいれたら、美容師さんじゃなくてもちょっとはお手伝いできるから、と。
でもこれ、武尊さんには内緒ですよ、と可愛く人差し指を立てる姿に、なんて健気なんだと一発ノックアウトされそうになった。
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