年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
お互いの両親には、婚約破棄の理由を、価値観の不一致、という至極ありふれた言葉で伝えてある。どちらが悪いわけでもなく、結婚の準備をしていくうちにどんどん合わない面が見えてきてしまったのだ、と。

話をした時はとても驚いていたし怒ってもいたけれど、二人で話して決めたことだから、と私が謝り倒すと、渋々納得してくれた。お父さんのいつになく落ち込んだ顔を見て心が痛んだけど、焦って結婚してすぐに離婚するよりは良かったのかもしれないな、と最後には笑顔を見せてくれてほっとした。

大輔くんの存在は、どうしてもまだ両親には伝えることができなかった。
彼を信頼していないわけでは決してないけれど、まだその若さに、及び腰になっている部分も少しはあった。それに、婚約破棄してすぐに違う男を紹介するなんて、印象が悪すぎるからやめとけと、忠告してくれたのは祥裄だった。
本当の理由は私の心変わりなのに、自分も泥をかぶってくれて、祥裄のご両親の怒涛の非難を一人で受け止めてくれた。
祥裄には感謝してもしきれない。一生頭が上がらないと思う。
 
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