年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「コツがあるんだよ、食べ方に。初めて食べたとき、先に飴だけ食べたら中のりんごがまずくて、すごい後悔したんだよね。だからね、先に一部分だけ舐めてね……」

詳しく食べ方を説明してくれていたみたいだけど、俺はほとんど聞いてなかった。


少しだけ舌を出して、子供みたいに無心に、真っ赤なりんご飴を舐める。


「この薄くなったところから、ガブっと……」


大きく口を開けて、舐めていた部分に齧り付く。
飴の真っ赤な色が移ったその口元に、勝手に目が吸い寄せられる。


「そしたらほら、りんごと飴が一緒に食べられるでしょ」


得意げに言って、俺を見上げて笑う。


――可愛い。


「大輔くんも、食べてみる……」


齧りかけのりんご飴を差し出してきた手を掴んで、横にどけた。
不思議そうにした彼女の顔を引き寄せて、強引に唇を重ねた。


固まる彼女の唇を舐めると、たちまち口のなかに飴の甘さが広がった。


今まで味わったどんなものよりも、甘い気がした。

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