年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
ひとしきり話して、じゃあ、と去って行ったその夫婦を見送ると、辻井さんが小さくため息をついた。
「すみません。気分を悪くさせてしまいましたね」
「いえ、私は別に。お仕事関係の方ですか?」
「出版社の社長さんです。顔が広くて、話し好きな方なので。……彼女に気がつかないでいてくれて助かった」
そう言って、綾川さんが歩いて行った方向を見遣ったけど、人混みに紛れて彼女の姿は見えなかった。
「……絡まっているものは、真っ直ぐになりそうですか?」
私は部外者だし口を出す気はないけれど、今のままじゃ綾川さんがかわいそうだ。
「鋭意話し合い中ですが。……少し時間がかかりそうです」
どう頑張ったってもう彼女の姿は見えないのに、その姿を追い求めるように、遠くに視線をさまよわせ続けている。
さっきまでの笑顔は消えて、無表情で目をすがめて。
「すみません。気分を悪くさせてしまいましたね」
「いえ、私は別に。お仕事関係の方ですか?」
「出版社の社長さんです。顔が広くて、話し好きな方なので。……彼女に気がつかないでいてくれて助かった」
そう言って、綾川さんが歩いて行った方向を見遣ったけど、人混みに紛れて彼女の姿は見えなかった。
「……絡まっているものは、真っ直ぐになりそうですか?」
私は部外者だし口を出す気はないけれど、今のままじゃ綾川さんがかわいそうだ。
「鋭意話し合い中ですが。……少し時間がかかりそうです」
どう頑張ったってもう彼女の姿は見えないのに、その姿を追い求めるように、遠くに視線をさまよわせ続けている。
さっきまでの笑顔は消えて、無表情で目をすがめて。