年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「……傷つくのはいつもあの子なんです」

静かにそう、呟いた。

「今までいろんなものに嘘をついて、目を背け続けた僕が全て悪いのに、辛い思いをするのはいつもあの子だ。
それなのに何も責めたりしない。きっと今だって、何もなかったみたいに笑って待っていてくれる」

……あなたも充分辛そうですよ、と思ったけど、口には出せなかった。

責められた方がきっと辻井さんとしては楽なんだろう。
相手が傷つくよりも自分が傷つく方が、よっぽど。

「強くなりたい。……あの子や、大輔のように」

続いた名前に驚いて、聞き返す。

「大輔くん?」
「ええ」

目線は遠くに向けたまま、話し出す。
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