年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「今日の昼、片桐さんたちが来る前に少しだけ話したんです。仕事、楽しいかって」
ゆっくり視線を下げていく。
「僕が前の店でスタイリストに昇格したのも、今のあいつと同じ二十三歳の時だったんですけど。少し他の人よりも早かったせいで、いろんなプレッシャーを感じて、あの頃は一人であがいてました。
……きっと美容師っていう仕事の楽しさは見失ってた。結局二年で逃げました。店自体を辞めてしまった」
下がった視線は足元を捉えて止まる。
「今、大輔も同じようにプレッシャーと戦ってると思うんです。あいつなら大丈夫、っていう僕の勝手な期待で、他の人間よりも大きな重圧を背負わせました。
……でもそれでいいんだろうか、って不安になったんです。自分は耐えられずに逃げ出したものを、あいつに押し付けるのかって」
止まった視線が、ふっと和らいだ。
「逃げたくないかって訊きました。そしたらあいつ、こう言ったんです。
――『どれだけ辛くてもギリギリで踏みとどまってれば、いつか必ず成長できるし、認めてもらえる』、
だから逃げないって」
ゆっくり視線を下げていく。
「僕が前の店でスタイリストに昇格したのも、今のあいつと同じ二十三歳の時だったんですけど。少し他の人よりも早かったせいで、いろんなプレッシャーを感じて、あの頃は一人であがいてました。
……きっと美容師っていう仕事の楽しさは見失ってた。結局二年で逃げました。店自体を辞めてしまった」
下がった視線は足元を捉えて止まる。
「今、大輔も同じようにプレッシャーと戦ってると思うんです。あいつなら大丈夫、っていう僕の勝手な期待で、他の人間よりも大きな重圧を背負わせました。
……でもそれでいいんだろうか、って不安になったんです。自分は耐えられずに逃げ出したものを、あいつに押し付けるのかって」
止まった視線が、ふっと和らいだ。
「逃げたくないかって訊きました。そしたらあいつ、こう言ったんです。
――『どれだけ辛くてもギリギリで踏みとどまってれば、いつか必ず成長できるし、認めてもらえる』、
だから逃げないって」