年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
辻井さんからか、綾川さんからか。
それとも同時だったのか。
どちらからともなく伸ばされた手が、開いた距離の真ん中で触れ合った。
ゆっくりと、触れた指が絡み合う。
二人とも、視線は変わらずに上を向いたまま。
とても静かに、ささやかに、……でも、しっかりと。
バー……ン ドーン
地響きのような音がして、一際大きな歓声が上がった。
海の上に半円形の花が咲いて、水面に鮮やかに映り込む。
その歓声の中で、ひっそりと繋がれた手のことは、後ろにいた私と大輔くんしか知らない。