年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
さらに甘えるように体を寄せると、大輔くんは手を背中に回そうとして、なにかを一瞬躊躇い、逆に私の肩に手を置いて少し距離を離した。

なんで、と目線で問いかけると、彼は困ったように眉を寄せる。

「あの、ですね。……今日はおとなしく帰ろうかと」
「なんで?」

今度は声に出して訊くと、彼が言いにくそうに目を逸らした。

「……がっつかない自信がないので」
「……」
「情けないですけど、今日の余裕のなさも最初の時と同じみたいです」
「……ふっ」

本気で情けない顔で言うので、つい笑ってしまった。大輔くんはむっとしながらも、優しい手つきで髪を撫でてくれた。

「沙羽さん疲れたでしょう? 今日はゆっくり寝てください」

そう言って立ち上がろうとする彼に抱きついて引き止める。

「沙羽さーん……」
「いいよ、がっついて。今日は特別」
「手加減できないかも」
「心配無用! まだ多少の体力は残ってる」

抱きついた腕に力をこめると、ぐいっと引き離されて、そのまま腕を掴んで押し倒された。
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