年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
そこまで一気に話して、大輔くんが我に返ったように私を見た。


「すみません、俺ばっかベラベラ喋って」

「ううん。きみが辻井さんのことすごーく好きなのが伝わった。愛だね、そこまでいくと」

「愛してはいないですけど尊敬してます」


照れくさそうに笑って、また猛然と残りを食べ始める。
照れを隠すような食べ方で一気に全て平らげて、それに加えて私が食べきれなかった分も引き受けてくれた。若い男の子の胃袋の底力を見せつけられた気がする。

さすがに苦しそうにお腹をさすっている姿は、やっぱりその辺の大学生と変わらないような気がするけれど。



「追いつけると思うよ、きみなら」



「……え?」

「どう頑張っても追いつけない、ってさっき言ってたじゃん。

そのまま頑張ってれば、いつか絶対追い越せるよ」


話しているときの目がきらきらしていて、仕事に対する情熱がひしひしと伝わった。

年月を経るごとに慣れてしまって、いつの間にか忘れてしまっていたその情熱は、昔の私にも確かにあった。

早く先輩に追いつきたい、自分の仕事がしたい、そう思ってがむしゃらに頑張っていた、あの時の自分を思い出す。
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