年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
2
◇
とりあえず店の中へ、と促されて、大輔くんが私の背中を軽く押した。
「まだ営業時間中でしょ? 私、お客さんじゃないけど」
心配になって訊くと、大輔くんが苦笑した。
「もうすぐ閉店だから大丈夫。そんなカッコの沙羽さん、放って置くわけにいかないでしょ」
なんだか話す雰囲気が違うと思ったら、敬語が抜けていた。
こっちのほうが嬉しいな、と思いながら、ほら、と促されて大輔くんの後ろをついていく。
建物の前まで来ると、二階から女の子が降りてきた。
「あれ、葉月(はづき)、もう行くの?」
「はい、辻井さんが行けって。お疲れさまです」
きれいめの顔立ちの、明るい雰囲気の子だった。
すれ違う時に、お疲れ、と返す大輔くんに向かってと、私に対しても会釈をして立ち去っていく。会話から察するに、あの子がこの店のもう一人のスタッフだろう。
「あの子がアシスタントの郷原葉月(さとはらはづき)です。沙羽さんは初めて会いますよね?」
すぐに敬語に戻ってしまった。
残念に思う気持ちを悟られないように、小さく笑う。
「きれいな子だね」
「でもマイペースなんですよね。たまにこっちのペースが乱されるから困ります。俺が注意しても直らなくて」
「先輩みたいだね」
「一応、先輩です」
どうしても、みんなに可愛がられてる弟、っていうイメージが抜けないから、誰かの先輩の役割をしてるのがなんだか不思議。ちゃんと後輩に指導したりしてるんだ。
とりあえず店の中へ、と促されて、大輔くんが私の背中を軽く押した。
「まだ営業時間中でしょ? 私、お客さんじゃないけど」
心配になって訊くと、大輔くんが苦笑した。
「もうすぐ閉店だから大丈夫。そんなカッコの沙羽さん、放って置くわけにいかないでしょ」
なんだか話す雰囲気が違うと思ったら、敬語が抜けていた。
こっちのほうが嬉しいな、と思いながら、ほら、と促されて大輔くんの後ろをついていく。
建物の前まで来ると、二階から女の子が降りてきた。
「あれ、葉月(はづき)、もう行くの?」
「はい、辻井さんが行けって。お疲れさまです」
きれいめの顔立ちの、明るい雰囲気の子だった。
すれ違う時に、お疲れ、と返す大輔くんに向かってと、私に対しても会釈をして立ち去っていく。会話から察するに、あの子がこの店のもう一人のスタッフだろう。
「あの子がアシスタントの郷原葉月(さとはらはづき)です。沙羽さんは初めて会いますよね?」
すぐに敬語に戻ってしまった。
残念に思う気持ちを悟られないように、小さく笑う。
「きれいな子だね」
「でもマイペースなんですよね。たまにこっちのペースが乱されるから困ります。俺が注意しても直らなくて」
「先輩みたいだね」
「一応、先輩です」
どうしても、みんなに可愛がられてる弟、っていうイメージが抜けないから、誰かの先輩の役割をしてるのがなんだか不思議。ちゃんと後輩に指導したりしてるんだ。