恋する白虎
杏樹はようやく自宅の玄関に辿り着いた。

ショックのせいで鍵が鍵穴に入らない。

「おう、杏樹!どーした?」

「きゃあああっ!」

急に声をかけられて、杏樹は鍵を落として悲鳴をあげた。

「お、おい、何だよっ」

顔をあげると目の前に、お隣同士で幼馴染みの慶吾が立っていた。

部活帰りらしく、片手でバッシュの紐を束ねて、担ぐように持っている。

「どーしたんだよ」

男らしい頬を傾けてかがみ込み、慶吾は心配そうにこっちを見ている。

「慶吾っ!」

杏樹は思わず慶吾の二の腕をつかんで抱きついた。
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