恋する白虎
「杏樹、DVDを杏樹の家に忘れちゃった。取りに行っても、いい?」

校門付近で美雨に声をかけられて、杏樹はドキッとした。

「いいけど……」

美雨が怪訝な顔で見ている。

「どーしたの?」

「永舜は、もういないの」

美雨は、眼を見開いた。

「え、なんで?神社が直ったの?」

「そーじゃなくて…。
色々あって」

美雨は、困ったように視線をそらせた杏樹を見ていたが、フーッと息を吐いてから口を開いた。

「…はっきり言うけど」

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