恋する白虎
言葉を切ってから、美雨は真っ直ぐ杏樹を見て続けた。

「私、永舜の事、狙ってるのよね」

杏樹は思わず息を飲んだ。

美雨はそれを見て小さく笑った。

「なに、その顔。
白虎なのに、どーするの?とか思ってる訳?
私は、彼が人間じゃなくても構わない。
だって彼、素敵だもの!
…杏樹」

そこまで言うと、美雨は杏樹を正面から睨んだ。

「邪魔しないでよね。
永舜をとらないでよね」

美雨は、踵を返して杏樹に背を向けると、校舎へと歩き始めた。

美雨……。

「あ、そーだ」

声と共に美雨が振り返り、ニヤリと笑った。

「明日でいーから、DVD持ってきて」

杏樹は、返事も出来ず立ち尽くした。
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