恋する白虎
『邪魔しないでよね。
永舜をとらないでよね』

美雨の言葉が頭の中でグルグル回り、杏樹は溜め息をついた。

それから、ふと思った。

……永舜は、どうして私に好きだと言えるんだろう。

これは、運命だって。

白虎と人間は、恋をして、それからどーなるんだろう。

永舜は、人間と恋をしても平気なの?

白虎は、白虎と恋するもんじゃ、ないの?

……謎だわ。

その時、杏樹のスマホが鳴った。

学校一の優等生、真麻からである。

「杏樹?ごめんね、遅くなっちゃって!塾の宿題が山ほどあってさー。
あの漢文、意味わかったよ。
見たことない字や、すごく古い言い回しにてこずったんだけど、噛み砕いて要点まとめて杏樹レベルに言い直すと」

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