恋する白虎
すると、桜の木から、勢いよく永舜が飛び下り、杏樹の前に立った。

永舜は、涼やかな瞳で真っ直ぐに杏樹を見つめた。

「杏樹」

「私の家に来て。話があるの」

家に着くまで、お互いに話さなかった。

自分の部屋へ入って、杏樹は深呼吸した。

クルッと振り返り、背の高い永舜を見上げる。

「白虎帳って、なに?」

永舜は一瞬、眼を見開いた。

なぜ、白虎帳を……。

杏樹は、ちょっと笑った。

「さぞかし面白かったでしょうね」

何の事だ。

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