恋する白虎
永舜は眉を寄せた。

「白虎が見える女は、珍しいのよね」

「杏樹?」

「自分を好きになるように仕向けて、私の気持ちを弄んだのよね!
好きだって言わせて、西天に連れて帰って結婚するのが、最後の修業なのよね?!」

「杏樹、聞いてくれ」

「白虎が見える人間の女なら、誰でもよかったのよね!!私じゃなくてもよかったんでしょ!
何が運命よ!!
ひどいわ!」

「聞けと言っているんだ!!」

両腕を振り上げた杏樹の手首を掴み、永舜は至近距離から杏樹の眼を覗き込んだ。

険を含んだ眼差しが、射抜くように永舜を捉える。

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