恋する白虎
慶吾は眉を寄せ、杏樹の背中をポンポンと叩いて落ち着かせようとした。

「何があったか言ってみ」

…うっ、マズいわ話せない!

だって話すとなりゃ、最初から話さないとならない。

とゆーことは、私が恋をして告白した事も話さなきゃならない。

ダメよダメだわ、絶対にダメ!

だって慶吾とは幼馴染みで、愛だの恋だのそんな気恥ずかしい話題は今までお互いに避けてきたんだもん。

杏樹は、深呼吸をしてからおもむろに鍵を拾い、慶吾から一歩離れた。

「あら慶吾、ごきげんよう」

慶吾は呆れて素早く突っ込んだ。

「何がごきげんよう、だ。貴族か、お前は」
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