恋する白虎
「確かに最初は誰でもよかった。
最初にお前に逢った時、俺は、やったと思った。
自分を良く見せ、お前に好きになってもらいたかった。
だが、俺が先に惚れたんだ。
お前じゃないとダメだと思った。
どうしようもなくお前に惹かれて、お前が毎日神社に来るのを待ち焦がれた。
だから、俺を好きだと言ってくれた時、死ぬほど嬉しかった」

永舜はそこで一旦言葉を切ってから、そっと杏樹の手首を離した。

「ただ、好きと言われたから、直ぐに西天へ連れて帰れるとたかをくくっていた」

永舜は淋しそうに笑った。

「白虎だから、無理だと言われる事も、誤算だった」

私だって永舜を、すごく好きだよ。

杏樹は、夢中で永舜に抱きついた。
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