恋する白虎
でも、こんな経験は初めてで、怖いの。

「私を、西天へ連れて帰りたいの?」

杏樹は、震える声で聞いた。

永舜は優しく杏樹を抱き締めて言った。

「ああ、連れて帰りたい。
杏樹を、俺の妻にしたい」

「人間と白虎が、結婚できるの?」

「ああ、出来る。西天でならば」

杏樹は、永舜の胸に頬を寄せて、眼を閉じたまま尋ねた。

「西天て、どんなところ?」

私は、そこで生きていけるの?

永舜は杏樹の髪に顔を埋めながら、囁くように言った。

「とても、綺麗なところだ」

その時ガタンと音がして、冷たい声が響いた。

「……近くまで来たからDVD取りに寄ってみたら……なんなの、これ」

声のした方を二人が向くと、腕を組んで睨み据える美雨が立っていた。

「こんなにお取り込み中だと、玄関ドアも開きっぱなしだし、インターホンも聞こえない訳だ」

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