恋する白虎
杏樹は、思わず永舜から身を起こし、離れようとした。

永舜は逆に杏樹を引き寄せ、美雨を正面から見た。

「永舜、私が永舜を好きなの、気付いてたよね?!杏樹、邪魔しないでって、言ったよね!?」

「美雨……」

「美雨、俺が好きなのは杏樹なんだ」

「どうしてよっ!?
どうして、杏樹なのよ!?
最初に逢ってたのが私だったら?!
私を、好きになってた?!」

永舜は、静かに言った。

「杏樹じゃないと、ダメなんだ」

美雨はポロポロと涙を流した。

「どうしてよっ!何でみんな、杏樹なの?
私だって……愛されたい」

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