恋する白虎
「……」

「……」

お互いにしばらく見つめ合ったが、やがて諦めたように永舜が両腕を伸ばして、杏樹を引き寄せた。

だめだ、可愛すぎて、たまらない。

「そう怒るな。許せ、杏樹」

もう。

こんなにキリリとした男前なのに、甘えん坊というか……。

ダメだ、そのギャップにやられる。

それにこの大きな、逞しい身体に抱き寄せられると安心する。

永舜……。

……ん。

ん?

あれ?

……。

……この虎め。
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