恋する白虎
「離さない」

みるみる顔を赤くする杏樹を見て、永舜は胸が高鳴った。

「もうっ、永舜たらっ」

永舜はヒョイと杏樹を抱き上げ、更にニヤリと笑った。

「もう、我慢できない。このまま、寝台に」

「きゃあ、バカ、降ろしてっ」

瞬間、永舜は弾けるように笑い、杏樹をそっと降ろした。

からかったのねっ?!

杏樹は、真っ赤になったまま、永舜を睨んだ。

「俺を幼子扱いした罰だ」

「……!」

それから永舜はクスリと笑うと、優しく杏樹に口付けた。

「愛してる」

杏樹は、諦めたように眼を閉じた。

「私も」

互いに幸せだと思った。
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