恋する白虎
「永舜に、質問があるんだけど」

「ん?」

「人間界で修業して、今何年目?」

「もうすぐ、百年だ」

「この百年に、永舜の事が見える女の人はいなかったの?」

永舜は、箸を置き、杏樹をチラリと見た。

「いた」

「その人とは、どうなったの?」

「どうなったとは?」

杏樹は、慌てて永舜から視線をそらせた。

「だから、付き合ってたとか」

永舜は少し眼を細めてホッと息をついた。

「……人間界では、うまくいかない。俺は、見えないし、人の暮らしに順応できないから」

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