恋する白虎
「子供の頃からずっと好きだったんだって、杏樹が」

千里は続けた。

「アイツ誰か好きな奴とか、付き合ってる奴とかいるのかなって、聞かれてさ。
杏樹、れいの神社の彼とはダメだったじゃん?だから、杏樹はフリーだって言っといた」

ええー!

けどなにも言えずに、杏樹は満足そうな千里を見つめた。

「田崎君にしときなよっ、彼、性格もいいし、バスケ部のエースだし、ルックスだっていけてるしぃ!」

「あ、あのね、千里」

弱々しい杏樹の声は、千里の黄色い声にかき消された。

「あ、佑都が迎えに来たぁ!じゃあね、杏樹」

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