恋する白虎
三階の窓から校門に停まった派手な車を見て、千里は杏樹に手を振り、颯爽と教室をあとにした。

そんな千里をみて杏樹は溜め息をついた。

いつの間にか教室はガランとして、杏樹ひとりになっていた。

「あーあ」

さあ、帰ろ。

杏樹はカバンを手に立ち上がった。

その時である。

急に視界に永舜がうつり、杏樹は、ビクッとして眼を見開いた。

「永舜!どうしたの!?」

永舜が、学校にくるなんて、今までなかった。

「どーしたの、何かあったの?」

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