恋する白虎
思わず杏樹の腰を掴むと肩に担ぎ上げ、大股で二階へ上がると部屋のベッドに下ろす。

ベッドが跳ねて、杏樹は反射的に後ろに両手を着いた。

そんな杏樹に覆い被さりそうな勢いで、永舜はベッドに膝をつき、至近距離から杏樹を見つめた。

キリリとした眉の下の瞳が、苛立たしげに瞬く。

「永……舜」

「お前にとって、隣の小僧はなんなんだ」

隣の小僧……。

「慶吾の事?慶吾は幼馴染みで、昔から一緒だから……」

「だから?」

「だから……慶吾は特別……」

永舜はイライラして、杏樹の言葉を遮った。

< 134 / 270 >

この作品をシェア

pagetop