恋する白虎
「特別って、なんだ。
特別だから飯を食わせたり、繕い物をしたり」

そこで一旦言葉を切り、永舜は頬を傾けて、杏樹の唇を見た。

「抱き締められたり、求婚されたりするのか」

「永……」

永舜の口付けが杏樹の言葉を奪うのと同時に、そのまま後ろへ押し倒す。

そっと唇を離すと、永舜は瞳に意地悪な光を浮かべて杏樹を見た。

「お前は、無防備すぎるんだ」

驚いたような顔で真っ直ぐにこちらを見つめる杏樹を見て、永舜は痺れるような感覚を覚え、杏樹の首筋に唇を押し付けた。

「……!」

杏樹は、驚いた。

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